作業療法士には就労支援ができない?-障がい者の仕事サポート-
昨日のカンブリア宮殿(初台リハ病院)の放送で、生活/人生の回復と言う言葉が頻繁に出てきましたね。冒頭に出演された寿司屋の大将さんも印象的でした。さて、今日は障がい者の就労についてのお話です。皆さん、就労支援できますか?
今日の記事は障がい者の就労支援についてです。皆さんは、就労支援を行ったことがありますか?講義中に就労支援に関わったことがあるかどうかを作業療法士に聞くことがありますが、実は、ほとんどの方が就労支援をしたことがないのです。残念ながら、就労継続支援や就労移行支援を行っている事業所にも、多くの場合、作業療法士は在籍していません。
ー作業療法士には就労支援ができない?ー
就労支援は作業療法士じゃなくて、ジョブコーチでしょ?と思っている方がいるかもしれませんが、歴史的な背景を見ても作業療法が道徳療法、職能療法を基盤として発展してきたことが分かります。元来、作業療法士は就労支援のプロなのです。就労支援ができないのではなく、就労支援に関わることができていないのです。
以前、職業センターと一緒に介入をした時に、カウンセラーの方とジョブコーチの方とお話をしていたら、作業療法士はジョブコーチと同じようなことをするんですね、と言われたことがあります。作業療法士もジョブコーチも、「どうしたら就労できるか」「どうしたら効率よく働けるか」に焦点を当てるので、同じ視点で協働して介入できるのです。
ー就労継続支援と就労移行支援の違いー
それでは、就労継続支援と就労移行支援の違いを整理してみます。就労継続支援は、一昔前で言う「作業所」です。施設/事業所内で生産的な活動を行い、賃金を得たり、職業能力を向上させたり、一日を過ごす場として利用します。
就労継続支援には、A型とB型があります。A型とB型の違いは、雇用契約の有無です。A型は雇用契約があるので、お給料を貰いながら働く場所です。B型は雇用契約がないため、いわゆる最低賃金の概念は存在しません。授産施設からの工賃という形で多少の賃金が払われることがあります。
一方で、就労移行支援は、新しく仕事に就くためのトレーニングや、復職するため(リワーク)のトレーニングを行います。利用者が施設に通い、自分に必要な職業訓練プログラムを選んだり、スタッフと決めて取り組みます。
一般的に、朝から夕方までの利用が多いですが、午前中のみや午後のみなどの利用も可能で、リワークの場合、職場での実習を含む場合もあります。
ー復職までの流れを確認してみようー
一般的な就労までの流れを確認してみます。学生でない限り、多くの方は仕事をしているので、復職(リワーク)の流れを書きます。
- 休職期間と傷病手当の確認
- 仕事内容の確認と遂行分析
- 問題点の改善と強みの強化
- 他職種/他機関との連携
- 職場との連携(情報交換と交渉)
- リハビリ出勤、復職
大体の流れを書くと、このようになります。入院時だけではフォローしきれない場合は外来に繋ぐか、他職種/他機関に繋ぐ必要がありますね。就労支援では、職場との情報交換も大切になってきます。
次回は「作業療法士が就労支援のために行うべき6つのこと」として、先ほど挙げた流れを具体的に説明していきたいと思います。
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