子どもの成長を考える会に参加してきました
看護師さんの紹介で行橋市で開催された子どもの成長を考える会に参加してきました。長崎県の田中補聴研究所の田中英雄先生のお話を聞き、子どもの言葉の発達を脳や生理学的な観点から深く楽しく学ぶことができました。
5月26、27日に開催された子どもの成長を考える会に参加してきました。子ども同伴で参加したため、短い時間しか聴講できませんでしたが、言葉の発達についてたくさんの学びを得ることができました。
ー必ず聴いて話せるようになる接し方ー
田中補聴研究所所長の田中英雄先生は、補聴器や人工内耳の進歩により、一定の聴覚補償ができるようになったそうです。この聴覚補償により、対応を間違わなければ必ず聞いて話せるようになるとお話されていました。
では、一体どのようにすれば良いのでしょうか?それは、基本的には聞こえる子どもの育児や教育と同じだとのこと。
しかしながら、生まれてから聞こえている子とは違い、対応に重要な条件があります。
ー必ず聴いて話せるようになる10の条件ー
田中先生は講演の中で、必ず聴いて話せるようになる重要な条件を挙げられていました。
- 対応が早ければ早いほど有利
- 補聴器や人工内耳の聞こえをできるだけよくする
- 補聴器や人工内耳を朝起きて直ぐに付け、寝るまで付けておく
- いつも同じ聞こえになるように補聴器や人工内耳の管理をする
- 手話を使わない
- 簡単な身振りはよいがその場合も言葉で3回聞かせた後で
- 顔を見て話すのは良いが、分からせるためにと意図的な続話をさせない
- 補聴器や人工内耳をつけてから最低でも1年半以上保育園や幼稚園にやらない
- 一音ずつの区切った言い方や発音指導をしない。普通の話し方で回数を多くする
- 五感を通じた直接体験の中で言葉を使う
引用:田中英雄、第10回子どもの成長を考える会、基調講演資料より
この条件の下、田中先生の指導を受けた子は聴いて話すことができるようになっていました。この変化は驚く程で、かかわりの初期から数年後の動画を比較すると、別人のようにキレイな話し言葉になっていました。
さらに驚いたことは、聾学校での取り組みの比較です。長崎で田中先生の関わっている学級と他の学校(同年代かそれ以上)を比較すると、子どもの発話量の違いが明確でした。他の学校では、個別もしくは集団指導の際に会話はほとんどなく、補聴器などで音は聞こえているにも関わらず、言葉の理解と表出ができない様子でした。
聴覚補聴をした上で、適切な関わりをしないと、音が聞こえていても、聴いて話せるようにはならないということを強く感じました。
ー絵本の読み聞かせが効果的ー
田中先生によると、聴いて話せることと、読んで書けることは少し異なります。これは活字と話し言葉に微妙な違いがあるからだということです。活字に慣れるためには、小さい頃から絵本の読み聞かせをすると良いそうです。
絵本は書き言葉で文字が書かれており、絵によって言葉の理解も行いやすいため、絵本の読み聞かせは言葉の発達に効果的だということです。
ーまとめー
記事の中では脳のことや生理学的なことには触れていませんが、講演の中では、なぜこういった対応が有効なのかを科学的にお話されていました。言葉の発達のために親ができることも多いですし、親の関わりが重要なのだなと改めて考えさせられました。
子どもの成長を考える会は毎年一回開催されているとのことですので、興味のある方は是非、来年ご参加下さいね。