筋骨格系に対する作業療法Occupational Therapy Interventions for Adults With Musculoskeletal Conditions
American Journal of Occupational Therapyから筋骨格系の作業療法介入についての論文をご紹介します。オープンアクセスなので、どなたでも原文を読むことができますよ。
整形疾患の方の訪問依頼を受けましたので、少し調べていたら良い論文が見つかりました。海外論文を読んでいないと読めなくなりそうなので、時々は読まないといけませんね(笑)
ー日常生活に焦点を当てて痛みの管理をするー
論文は事例報告の形式を取っていますが、評価や介入の選択に根拠を示しながら進めています。報告された事例は、膝の術後3日で退院し(はやっ!)、訪問での介入を開始しています。
評価は、カナダ作業遂行測定(COPM)、セルフケア遂行評価-自宅ver-(PASS-H)、ビジュアルアナログペインスケール(VAS)を用いています。
整形疾患となると、身体的な評価が主になりそうですが、実はそうではないんですよね。しっかりと日常生活の評価を行うことが求められます。
ー習得モデルと代償モデルの有効性ー
習得モデルとは、作業遂行を改善するために作業の練習を行う介入方法です。代償モデルは、やり方を工夫して変えたり、福祉用具などを使って作業遂行ができるようにする介入方法です。
介入として記述されている内容は、術後の経過をしっかりと説明しリハビリテーションの見通しを伝えたうえで、「移乗などの移動能力を高めること」「痛みや動きの制限を補うための技術を含めた日常生活動作練習」「浴室やトイレの改修、絨毯を除けるなどの環境調整」「新しい課題への挑戦(練習)」となっています。
これらのアプローチの結果、COPMやPASS-H, VASは大幅に改善しています。
私の訪問経験においても、習得モデルと代償モデルでの介入は短期で効果を上げることができると感じています。下記の論文も整形疾患の事例です。
- 福田久徳:意味のある作業への介入が訪問作業療法で効果をあげた事例.作業療法34.p70-76, 2015.
ーできることが増えると、新しいことへの挑戦が生まれるー
病気や手術をしてすぐは、どうしても不安や怖さが先に立って積極的に生活と向き合えないものです。しかし、しっかりと生活を行えるように工夫し、繰り返し練習していくことで、気持ちも身体も自然と良くなっていきます。
一番良くないことは、痛いから、怖いからと言って、動かないこと。筋肉がどんどんと弱くなり、日常生活動作もより行いづらい状況となってしまいます。
一つ一つ、目の前の課題や生活行為と向き合い、解決していくことが新しい希望や挑戦につながる第一歩ですね。